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2024.12.7

序盤の給油タイミングでついた大差 全力で追い上げるも悔しい4位フィニッシュ

GOOD YEAR Dream Cup 2024
富士スピードウェイ
4.563km(6時間)
予選 12月7日(土)天候:晴れ 路面:ドライ
決勝 12月7日(土)天候:晴れ 路面:ドライ

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
4年ぶりに復帰した昨年のDream Cupは悔しい2位。リベンジを果たし優勝を目指す

例年より2週間ほど早い12月7日に富士スピードウェイで開催された「GOOD YEAR Dream Cup」。2011年にVitz Dream CupとしてスタートしたVitzワンメイクの6時間耐久レースが徐々に参加車両を増やし、現在はナンバー付きのYaris、Vitz、GR86/BRZ、86/BRZ、ロードスターが6時間を戦う耐久レースに進化した。

Team midressは同レースで初年度と2013年からの4戦連続で優勝を飾る、表彰台常連チーム。昨年は4年ぶりの参戦を果たすも悔しい2位で終えている。今年は社員ドライバーである神谷裕幸と内藤章太に加え、Team midressメンバーの千葉翔太選手の3人体制で昨年のリベンジを果たすべく参戦。クラスはもちろん昨年と同じくYarisクラスで、#138N中部GRGミッドレススノコYarisを走らせる。

同レースは車両性能やドライバーのテクニックのみならず、燃料補給のタイミングも勝敗を分ける大きなポイントとなり、チームワークが何よりも重要となる。各チームが狙う一番の給油タイミングはセーフティカー(SC)導入のタイミングではあるが、給油渋滞によるタイムロスも結果に大きく影響するため、状況を見ながらの決断力が試される。Yarisクラスは1回に20ℓまでの給油制限があることに加え、スタートから65分間、そして5時間50分経過後の給油は禁じられている。さらに燃料補給を伴うピットイン時は時間管理区間で7分以上滞在しなければならないなど、さまざまなレギュレーションが定められているため、勝つためには実力だけでなく運をも味方に付けることが必須と言える。

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
アタックを任された神谷も驚く予想外のポールポジション!

同レースの特徴のひとつが、予選、決勝を同日に行う1DAY開催だ。早朝6時45分からの公式車検後に燃料タンクが封印され、予選も含めたレーススタート後65分が経過するまで給油は認められないルール。そのため予選で1発タイムを狙った全開走行の有無も、チームごとの作戦に委ねられている。Yarisクラスの予選は7時50分からの12分間で、走行できるのはAドライバーのみ。Team midressはガソリンを温存する作戦に出ることを決断し、神谷は燃費を意識した走りで2分15秒364をマーク。燃費走行ながらもYarisクラスのポールポジションと賞金1万円を獲得するという、幸先の良いスタートを切った。

神谷裕幸のコメント

「5番から10番ぐらいでいいかな? と思ってタイムを出しに行きましたが、意外とみんなタイムを出してこなかったなというのが率直な感想です。ポールは2分14秒5ぐらいまで行くかなと想定していて、決勝は他のクルマのスリップに付きながら追い上げて行く計画でしたが、トップに立ってしまったので、序盤からガンガン攻めていきたいと思います」

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
敗因はチームの作戦である給油回数!?

決勝レースのスタート進行は、予定通り9時45分に開始された。事前の天気予報では寒くなることが予想されていたが、比較的暖かいという印象。爽やかな晴天のもと、ドライコンディションで6時間のレースが行われた。#138N中部GRGミッドレススノコYarisは予選の総合順位である12番グリッドからのスタートとなる。スタートを担当するのは神谷。チームの作戦は昨年と同様、給油は4回。スプリントペースでの攻めの姿勢で、6時間を走り切る計画。まずは、Yarisクラスのポールポジションを守り切る逃げの態勢を構築すべく、勢いよくスタートを切った。

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ

神谷はトップをキープしたまま好ペースで周回を重ねるが、スタートドライバーに許された連続乗車時間は60分。さらに燃費を無視した攻めの走りに徹していることも考慮し、22周目にピットイン。1回目のピットストップはドライバー交代のみのため、ピット滞在の時間規定によるロスはなし。とはいえ、順位の後退は避けられず、バトンを受け継いだ内藤がコースに復帰した時点でのYarisクラストップの座は、#225 ヴァンガードbyFarinaYarisに明け渡してしまう。その後、各車ピットストップのタイミングにより大きく順位を入れ替える流れとなるも、内藤は順調に周回を重ね、29周目には総合7位、Yarisクラスのトップに返り咲き、作戦通りの安定したレースを展開する。

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ

1時間半を経過する頃には車両の燃費差により、上位を占めていたGR86/BRZクラス勢の2回目のピットストップが開始されると、着々と順位を上げていく内藤。45周目を終える頃には総合・Yarisクラス共にトップとなるも、このタイミングでピットイン。しかし、ガソリンスタンド渋滞により合計1分のタイムロスを喫してしまい、このタイミングは裏目に出てしまう。バトンを受け取った千葉選手はスムーズにコースに復帰。ピットストップによるロスを好ペースで挽回し、59周目には総合7位、Yarisクラス3位にポジションアップする。

そして2時間40分が経過する頃、62周目に3回目のピットストップを行い、再び神谷に交代してコースに入る。大きなトラブルもなく、作戦通りのスプリントペースで前を追うも、上位勢との差は大きく、3時間10分経過時点でのYarisクラストップの#123 NETZ富山RacingYarisとの周回数の差は3周。ピットストップのタイミングが2台の差に大きな影響を与えていて、同時点での#138 N中部GRGミッドレススノコYarisのピット回数は75周で3回に対し、#123 NETZ富山RacingYarisは78周で2回となっていた。

4回目のピットストップは残り2時間となる94周目。ここまで大きなミスやトラブルもなく、作戦通りに周回を重ねてきたにもかかわらず、千葉選手に交代し、コースに復帰した時点での順位は5位。トップとの周回数の差は3周と変わらず、給油回数を4回に定め、6時間フルプッシュし続ける#138 N中部GRGミッドレススノコYarisと、給油回数を3回に抑え、レース後半は燃費走行に徹する上位勢の構図に。

チーム内には「給油3回で6時間を走り切ることができるのか?」と「給油3回で走り切れた場合、自分たちはフルプッシュし続けると、周回数はトップに届くのか」。この2つの疑問が浮かぶが、作戦変更は困難なため、上位チームが給油3回では6時間を走り切れない可能性に望みを託し、千葉選手は全開走行を継続。残り1時間に迫る118周目に5回目のピットストップを終えると再び神谷にバトンを託し、チェッカーまでの最終スティントに入った。コース復帰時点での順位は総合13位、Yarisクラス5位という状況。神谷は少しでも前との差を詰めるべく、最後の最後までスプリントペースでの全開走行を続け、健闘を見せるも最終結果は145周で総合7位、Yarisクラス4位で昨年のリベンジならず。非常に悔しい結末となった。

なお、Yarisクラス優勝は2年連続となる#123 NETZ富山RacingYarisで、その差は1周とかなりの大差ではあるが、当初の3周から挽回することができた。今回のデータを元に、さらに強く成長してのリベンジを強く決意し、6時間という長丁場の耐久レースを終えた。

神谷裕幸のコメント

「うちは今回4回給油のフルスプリントペースで行ったのですが、昨年までのレースでは毎回セーフティカーが出るタイミングがあったことと、クルマがYarisになってからは昨年が初めての参戦だったことなどが重なり、燃費などのデータがありませんでした。レースが終了してみると、3回給油の作戦を取ったチームが表彰台を独占していたので、3回給油が正解だったという感想です。来年はもう一度考えて、参戦したいと思います」

内藤章太のコメント

「正直、悔しい形で終わっちゃったなというレースでした。前半はうちと同様のスプリントペースで走っていた、ライバルである#123 NETZ富山RacingYarisさんが、3回目の給油後から燃費を考えたペースで走るという形に作戦を変えてきて、作戦的にはどちらが正解なのかと、ヤキモキしながらのレースでした」

 

千葉翔太選手のコメント

「結果は4位で、自分たちより前は3回給油という戦略を取ったチームだったので、昨年同様の4回給油を選択したうちの戦略負けかな?と思っています。他のチームと比べても、スティントごとのアベレージに差はないので、敗因はピットストップ回数によるタイムロスでしかないと思うので、悔しいです」

GOOD YEAR Dream Cup 富士スピードウェイ
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