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REPORT2019
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DREAM CUP 富士スピードウェイ
6時間で5秒届かず! 38号車は悔しい2位
CVTクラス238号車は2年連続クラス2位
GOOD YEAR Vitz&86/BRZ Dream Cup2019
富士スピードウェイ 4.563km 6時間耐久
予選/決勝12月21日(土)天候/曇り 路面/ドライ
チームミッドレスから3台のヴィッツがエントリー
2019年最終戦を終え、チャンピオンが何人も生まれ、モータースポーツは完全なオフシーズン。来シーズンへ向けての準備に追われるチームやドライバーたちは、逆に寒さを感じる余裕もないほど、大忙しになる。そんな中、ヴィッツレースや86/BRZレースに参加するチームやドライバーが集結し戦う6時間の耐久レース、毎年恒例の「GOOD YEAR Vitz&86/BRZ Dream Cup2019」が、12月21日、富士スピードウェイで行われた。
必勝を期すチームはドライバーを揃えて高度な戦略を組む一方、普段はメカニックとしてチームを支えるスタッフがドライバーとして参加するチームもある。6時間という長丁場をどう楽しむか、チームそれぞれだ。ミッドレスは、ヴィッツクラスに#38N中部GRGミッドレスVitz 神谷裕幸/堀内秀也組が参戦、去年と同じ体制で優勝を目指す。ヴィッツCVTクラスには#238N中部ミッドレスCVT Vitz 内藤章太/井村大委智/塚本茂博/老平拓未組がエントリー。昨年はクラス2位で悔しい思いをしただけに、今年はヴィッツレースにフル参戦した社員ドライバーを中心にクラス優勝を狙う。
さらにもう1台、CVTクラスに#312いなふぉと号ミッドレスヴィッツ 荒川美恵子/稲垣之浩/稲垣稀美子/川瀬武男組がミッドレスからのエントリー。総勢3台でミッドレスはドリームカップに臨むことになった。
ピットインの戦略が勝敗のカギを握る
エコ耐久レースだけに、レギュレーションへ上手く対応し、戦略を立てることが勝敗を左右する。基本的には燃費とタイムのバランスポイントが重要で、ドライバーは効率的に走らせる必要がある。
1回あたりのガソリン給油量はヴィッツの場合は最大20Lで、同時に7分間のピットタイムが義務づけられている。これによってタイヤ交換を含めてピット作業を慌てる必要がなく、同時に給油回数を減らすことができれば7分ものタイムを削ることができる。また、給油はパドック内のガソリンスタンドで行うため、混雑しているとロスタイムが出る可能性がある。つまりタイミングを読み、ピットインさせる必要もある。
ミッドレスはドリームカップのヴィッツクラスで2013年から4連覇しており、常に優勝候補の筆頭に挙げられる。しかし一昨年は8位、昨年は残り2周というタイミングでトップを奪われ悔しい2位。王座奪還へ向けた強い決意を胸に富士スピードウェイへ乗り込んだ。
決勝を意識して「がんばらない予選」
予選は1人のドライバーだけがチームを代表してアタック。#38神谷はヴィッツクラス30台の14位、#238内藤はヴィッツCVTクラス7台の7位、#312は荒川美恵子選手はクラス6位となった。その順位はいずれも上位ではなかった。予選後、神谷と内藤に話を聞いたところ「狙い通り」と話した。ドリームカップではスタートポジションは重要ではなく、戦略を考えた結果だという。朝の公式車検で給油口に封印がされ、予選を含めて決勝レースがスタート65分経過後まで給油できない。予選をアタックせずに燃料を温存し、最初の給油を出来るだけ遅いタイミングで行なうという戦略だ。
快調な走りでトップ集団をリード
午前10時、予定通り決勝レースがスタートした。#38は堀内選手が、#238は内藤がスタートを担当した。優勝を狙う#38はオープニングラップで2つポジションを上げると、勢いそのままに5周目終了時までにクラス7位まで順位を上げた。このまま順位を上げ続けるかと思われたが6周目でピットイン。86/BRZクラスの先頭に周回遅れにされ始め、混戦となってきたため当初の予定よりも早く最初のドライバー交代を行い神谷へドライバーチェンジ。クラス28位でコースに戻ると安定したタイムでラップを刻んでいく。
15周目、35分ほどを経過した段階でレースが大きく動く、トヨペット100Rコーナーの立ち上がりでCVTクラスの1台が激しくクラッシュ。マシン回収のためセーフティーカーが導入される。このタイミングで多くのライバルたちがピットインする。規定によりスタートドライバーは60分以内にドライバー交代をしなければいけないからだ。既にドライバー交代を済ませていた#38はコースに留まり、セーフティーカーが離れる21周目までに4位まで順位を上げた。その後29周目にトップに踊り出るが、#202と昨年の優勝マシン#887に追いつかれ36周目に3位に後退。
以降2位、3位とポジションを入れ替えながら周回を重ねるが50周目でピットイン。1回目の給油をし、堀内選手へドライバーチェンジすると3位でコースに戻る。54周目にクラストップへ返り咲いた。そのままライバルを寄せ付けず、最終的には2位に12秒ほどの差を常に保ちつつ、70周目で2度目の給油のためピットイン。神谷へドライバーチェンジ。
クラス10位でコースに復帰するが、80周目には再びトップに。2位に約10秒の差を付けたまま94周目にピットイン。3度目の給油を行い堀内選手へドライバーチェンジした。堀内選手もまたトップを取り戻すが、108周目には2位へ順位を落とす。
#38が終盤の不運を跳ね返す力走で2位表彰台獲得
#238も堅実なレース運びでクラス2位に
しかし予想外の出来事が起きる。残り時間1時間10分を切った頃だった。そろそろ最後のピットインのタイミングが迫っていたが、110周目にコース上での落下物を回収するため再びセーフティーカーが導入されたのだ。ここで多くのライバルが最後の給油のためにピットイン。給油所は混雑することになり、#38はピットインのタイミングを遅らせることになった。
さらに不運が#38を襲う。コカコーラコーナーで前走車がスピン。避けきれず接触してしまい、フロント部分にダメージを負ってしまう。そして急遽ピットインし、応急処置をし、残りのレースを神谷へ託し、4位でコースに復帰する。
ミッドレスのエース神谷選手は、マシンのダメージを感じさせない走りを見せる。ベストラップを更新し続けながら、前を行くライバルに迫っていく。122周目で3位までポジションを回復。この時点でトップは#270、そして2位は因縁の相手とも言える#887である。10秒ほどあった2位との差を5秒近くまで縮めた134周目、チェッカーまで残り時間約17分でトップ争いが大きく動く。2位以下を大きく引き離していた#270がペースダウンし、3位へ転落。給油回数を3回と少なく設定したことで、燃料が厳しくなりペースを落とさざるを得なくなったのだ。
これによってトップ#887と2位#38、2台の一騎打ちとなった。神谷は燃料もタイヤも使い切るギリギリの走りを展開し、一時は約4秒差まで接近。しかし#887もラストスパートの余力を残していた。#38は最終的に5.4秒差で2位チェッカーとなった。
CVTクラスにエントリーした#238N中部ミッドレスCVT Vitzは堅実なレース運びでクラス2位ゴール。結果として昨年と同じく、ミッドレスカラーの2台ともクラス2位という悔しさが残る6時間耐久レースとなった。また#312いなふぉと号ミッドレスヴィッツはクラス5位でレースを走り切り、チームミッドレス3台全車が無事完走を果たした。
#38神谷裕幸選手のコメント
「セーフティーカーに影響されたレースでした。2回のセーフティーカーでいずれも、早めにピットインして稼いだマージンが無くなってしまい、苦しい戦いになってしまいました。そして最後のピットイン前の接触によって、足回りが曲がり、バンパーもダメージを受け、ストレートスピードが全然伸びなくなりました。それで最後までフルプッシュしたんですが、届きませんでしたね。来年こそはリベンジを果たしたいです」
#238内藤章太選手のコメント
「優勝を目指していたのですが、残念ながら2位となってしまいました。ゴール時、燃料にはまだまだ余裕があったので、もっと早く最後のプッシュをかけていればトップに届いていたかもしれません。でも2位で表彰台に上れたことは素直に嬉しく思います。来年はもっと燃料管理とラップタイム管理を徹底し、優勝したいですね。そして表彰台の真ん中から激しいシャンパンファイトをしたいです!」
Team midress fighters
#38 N中部GRGミッドレスVitz 神谷裕幸/堀内秀也組 予選クラス14位・決勝ヴィッツクラス2位
#238 N中部ミッドレスCVT Vitz 内藤章太/井村大委智/塚本茂博/老平拓未組 予選クラス7位・決勝 ヴィッツCVTクラス2位